サイトアイコン 大学受験の王道

定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化におけるp-VグラフとV-Tグラフ(ポアソンの法則についても解説しています)

(1)解説授業動画

YouTubeチャンネルの登録をよろしくお願いします→大学受験の王道チャンネル

(2)解説授業の原稿

気体の状態変化においてグラフがどのようになるかを解説します。

グラフを考える問題の基本方針

まず理科においてグラフを考える問題が出たら

縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)

の形の式を作るというのが基本になります。

この形にすれば右辺を見ることでどのようなグラフの形になるのかがわかるようになります。

それでは定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化の4つの状態変化において、縦軸がp、横軸がVのp-Vグラフ、そして縦軸がV、横軸がTのV-Tグラフがそれぞれどのようになるか確認してみます。

定積変化のp-VグラフとV-Tグラフ

まずは定積変化です。

定積変化はV=一定となるのでp-Vグラフはp軸に平行な直線となります。

そしてV-TグラフはT軸に平行な直線となります。

「縦軸の文字=一定」あるいは「横軸の文字=一定」の形の式になった場合は、軸に平行な直線となります。

定圧変化のp-VグラフとV-Tグラフ

それでは次に定圧変化です。

定圧変化のp-Vグラフはp=一定なのでV軸に平行な直線となります。

また、p-Vグラフについて補足しておくと、p-VグラフとV軸で囲まれた面積は気体が外部にした仕事となることは知っておきましょう。

続いて定圧変化のV-Tグラフです。定圧変化のV-Tグラフを考えるときは、グラフの問題を考えるときの基本に則って、「縦軸のV=(横軸のtを含む式)」を作ります。圧力が一定であるのでシャルルの法則を使います。

シャルルの法則より
V/T=一定
なので、この一定の値をaとおいて
V=aT

と「縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)」の形にします。するとこの式は比例を表す式の形となるので、定圧変化におけるV-Tグラフは原点を通る直線のグラフとなります。比例の関係なのでTが増加すればVも増加します。

このようにグラフの形を知りたければ、与えられている条件から「縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)」を作るようにしましょう。

等温変化のp-VグラフとV-Tグラフ

続いて等温変化です。

等温変化のp-Vグラフも「縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)」を作ります。温度が一定なのでボイルの法則を使います。

ボイルの法則より
pV=一定
なのでこの一定の値をaとおき、
p=a/V

の形にします。するとこれは反比例を表す式なので、等温変化の p-Vグラフは反比例の双曲線の形となります。反比例のグラフなので、グラフ上のどの点をとってもpVは一定となります。

また、等温変化の p-VグラフとV軸で囲まれた面積も気体がした仕事となります。ただしこの面積を求めるためには積分が必要となります。もし数Ⅲの積分を習ったのであれば、等温変化における気体がした仕事を積分で求めてみてください。

続いて等温変化のV-TグラフはT=一定なのでV軸に平行な直線となります。

断熱変化のp-Vグラフ

続いて断熱変化です。

断熱変化のグラフは正確に書くのが難しいのでグラフの概形だけ知っておきましょう。断熱変化も「縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)」を作ります。断熱変化においてはポアソンの法則を使います。

ポアソンの法則とは、
pVγ=一定
というものです。ちなみにこのγのことを比熱比といいます。比熱比γは
定積モル比熱/定圧モル比熱(γ=Cp/CV
となります。単原子分子のときは定積モル比熱が3/2で定圧モル比熱が5/2なので、比熱比はγ=5/3となります。このポアソンの法則や比熱比などは覚えておく必要はなく、問題に出るときは基本的に問題文に書いてあります。しかし知っておくと便利なこともあるので、ぜひ知っておいてください。

では、このポアソンの法則の式からp=の形にしていきます。一定となる値をaとすると
p=a/Vγ
となります。これは分数関数であり、このグラフの概形を知るためにVとpの関係を確認してみます。Vを大きくするとγは0より大きいのでVγも大きくなります。するとVγは分母にあるので、a/ Vγは小さくなります。よってVが大きくなるときpは小さくなるといった関係になるので、グラフの概形は以下のようになります。

先ほどもお伝えした通り、断熱変化のグラフは正確にかけなくてもいいのでその概形は知っておきましょう。

断熱変化のV-Tグラフ

そしてV-Tグラフです。V-Tグラフもポアソンの法則を使って式を作ってみます。

ポアソンの法則より
pVγ=一定

となり、これではTを含んでいないのでTを含むようにするために左辺をpV・Vγ-1とします。すると、
理想気体の状態方程式(pV=nRT)を使って
nRT・Vγ-1=一定
の形に式変形ができます。このように状態方程式を使えばpを消去してTを導入することができます。あとは「縦軸の文字=(横軸の文字を含む式)」の形にしたいのですが、今回はグラフの概形を知りたいだけなので式変形が楽な横軸の文字であるT=の形にしています。すると一定の値をaとして、両辺をnRとVγ-1で割ると
T=a/nR・1/ Vγ-1
となり、さらに今回、気体の物質量は変わらないと考えており、Rは気体定数なので、a/nRを丸ごと定数bとします。すると
T=b/ Vγ-1
という形になります。ちなみにV=の形に無理やりすると、以下のようになります。
V=b1/γ-1・1/T1/γ-1

もちろんどちらでもグラフの概形を考えることができるのですが、今回はT=b/ Vγ-1の式を使って増減を考えてみます。先ほど確認した通り、γは単原子分子のときは5/3でγ-1は0より大きくなります。そのためVを大きくすればVγ-1は大きくなり、ということはVを大きくしたとき、b/ Vγ-1は小さくなります。よってグラフの概形は下図のようになります。Vを大きくしたときpは減少するという関係になります。

いかがだったでしょうか。理科においてグラフを考察したりグラフをかいたりする問題はよく出題されます。ぜひ今回のようにうまく式変形をして対応するようにしましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

P-VグラフとV-Tグラフ(2015年センター試験本試物理第5問)

(4)気体の状態変化(熱力学)の解説一覧

気体の状態変化(熱力学)公式

気体の性質は気体分子で考えることで理解しやすくなります(気体の圧力、混合気体、ドルトンの分圧の法則、気体の運動エネルギー、気体の内部エネルギー、ボイルの法則、シャルルの法則、気液平衡、飽和蒸気圧)

理想気体の状態方程式の使い方(理想気体とは何か、混合気体の考え方、計算の工夫の仕方についても解説しています)

気体の内部エネルギーの表し方(内部エネルギーの増加量の3つの表し方、熱力学の第1法則、定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化、マイヤーの関係についても解説しています)

気体が吸収した熱量の求め方(定積モル比熱、定圧モル比熱、熱力学の第1法則、定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化、熱効率)

気体が外部にする仕事(pΔVになるわけ、p-Vグラフ、熱機関のサイクル、定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化、断熱自由膨張)

定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化におけるp-VグラフとV-Tグラフ(ポアソンの法則についても解説しています)

(5)参考

気体の状態変化(熱力学)の解説・授業・公式・演習問題一覧

熱力学(物理基礎、物理)の解説動画・授業動画一覧

熱力学(物理基礎、物理)公式一覧

熱力学(物理基礎、物理)に関する現象・技術

熱力学(物理基礎、物理)の解説・授業・公式・演習問題一覧

物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)

物理公式一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)

物理に関する現象や技術(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)

物理の解説・授業・公式・演習問題一覧(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)

物理学習に必要な参考書・問題集

モバイルバージョンを終了