(1)例題
惑星が太陽に最も近づく点を近日点、最も遠ざかる点を遠日点と呼ぶ。下図のように、太陽からの惑星の距離と惑星の速さを、近日点でr1, v1、遠日点でr2, v2とする。また、太陽の質量、惑星の質量、万有引力定数をそれぞれM, m, Gとする。
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①v1:v2をr1, r2用いて表せ。
②縦軸を万有引力による位置エネルギー、横軸を距離rとして、r1≦r≦r2における万有引力における位置エネルギーのグラフを簡単にかけ。ただし、万有引力による位置エネルギーは、無限遠で0とする。
③縦軸を惑星の運動エネルギー、横軸を距離rとして、r1≦r≦r2における惑星の運動エネルギーのグラフを簡単にかけ。ただし、r1とr2のときの運動エネルギーの値を求める必要はない。
④r1=r2つまり惑星の軌道が円である場合を考える。惑星は等速円運動をするとき、その速さを求めよ。
⑤r1<r2つまり惑星の軌道が楕円であるとき、惑星の近日点における力学的エネルギーは、④のときと比べて大きくなるか小さくなるか。
(2018年センター試験本試物理第5問より)
(2)答案
①ケプラーの第2法則より、近日点と遠日点とでの面積速度が等しいから
½r1v1=½r2v2
r1v1=r2v2
∴ v1:v2=r2:r1
②万有引力による位置エネルギーをUとすると
U=−GMm/r
よって、万有引力による位置エネルギーのグラフの概形は以下のようになる。
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③力学的エネルギー保存の法則により、惑星の運動エネルギーと万有引力による位置エネルギーの和は常に一定である。よって②より、惑星の運動エネルギーのグラフの概形は以下のようになる。
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④
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⑤
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※地表面での水平投射運動では、物体は初速度が大きいほど遠くまで飛ぶ。同様に、遠日点の遠い楕円軌道の方が、近日点における速さが大きくなる。
(3)解法のポイント
①④⑤万有引力に関する問題で速さを問われたら、まずは軌道を確認します。
ⅰ)円軌道 → 運動方程式
ⅱ)その他の軌道 → ケプラーの第2法則 or エネルギー保存則
②③天体は、万有引力による位置エネルギーと運動エネルギーで、力学的エネルギー保存の法則が使えます。
(4)必要な知識
①ケプラーの法則
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②力学的エネルギー保存の法則
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③円運動の向心力
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(5)理解すべきこと
①そもそも位置エネルギーとは何かを理解し、万有引力による位置エネルギーとは何か理解しましょう→位置エネルギーとは何かを説明できるようになりましょう(重力・弾性力・万有引力・静電気力による位置エネルギー、保存力とは何か、仕事と運動エネルギーの関係についても解説しています)
☆動画はこちら↓
②等速円運動の問題の2つの解法について理解しましょう→等速円運動の2つの解法(向心力と遠心力についても解説しています)
☆動画はこちら↓
(6)参考
☆万有引力の勉強法はこちら→万有引力
☆力学の勉強法はこちら→力学の勉強法