「中世」という時代がいつまでか(つまりいつから「近代」が始まるか)についてまとめてみます。
先に言っておきますと、明確な1つの答えはありません。
というのも、何に視点を置くかで、様々な考えが存在するからです。
まずは、伝統的な説をご紹介します。
中世の始まり:西ローマ滅亡(パックス=ロマーナから暗黒時代へ突入)
パックス=ロマーナとは、「ローマの平和」を意味し、いわゆる五賢帝(ネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス=ピウス、、マルクス=アウレリウス=アントニヌス)の時代の西ローマ最盛期です。
そして、西ローマが滅亡し、文化が衰退し、停滞したとされる暗黒時代に突入します。(中世=暗黒時代と見なす考えには、批判も多いですが)
中世の終わり:新大陸の発見、または、東ローマ帝国滅亡
新大陸の発見は、その後、経済的・政治的な変化をもたらしたのは言うまでもありませんね。
また、東ローマ帝国滅亡(1453年のコンスタンティノープルの陥落)により、ローマ帝国の系統は途絶えます。
これらを中世の終わり・近代の始まりとするのが一般的な考えです。
それでは、その他の説を見てみましょう。
まず、文化史的な観点から
①ルネサンス(14世紀~)
②合理的科学的思考の登場(17世紀~)
を近代の始まりとする説があります。
また、経済的・政治的な観点から
①産業革命(19世紀初め)
②自由主義・民主主義(19世紀中ごろ)
を近代の始まりとする説もあります。
中世は、封建制・王制の時代なので、それとの区別という視点ですね。
さらに、三十年戦争でフランスが参戦したことにより、宗教ではなく自国の利益を優先したことが近代の始まりとみなしたり、
火器の発明や常備軍により、軍事革命が起きたことが近代の始まりと考える人もいるようです。
そして、そもそも中世と近代を区別する必要がないのではないのかという学派も存在します。
このような議論を見ると、歴史は連続しているんだということを再認識させられます。みなさんも、中世と近代の境目を考えてみてはいかがでしょうか。