解説動画はこちら↓
☆チャンネル登録よろしくお願いします→ソフィロイドのレクチャールーム
参考文献
『ツァラトゥストラはこう言った』(上)(下)(ニーチェ著, 氷上英廣訳, 岩波文庫)
.jpg)
Amazonリンク→https://amzn.to/4l6DhjM
動画の内容まとめ
睡眠と徳の関係について(『ツァラトゥストラこう言った(かく語りき)』第一部 第二章「徳の講壇」より)
これからお話するのは、人々から賢者と崇められている人が行った睡眠と徳の関係についての講義です。
この賢者が行う講義はとても評判が高く、多くの人がその講義を聴くために集まりました。
賢者は次のように語りました。
「夜によく眠るためには、日々の生活から徳を大切にしなければならない。なぜなら、日々の生活を心穏やかに過ごしていないと、夜安心して眠ることができないからだ。
- 社会のルールを守り、平穏な暮らしの中で心を乱さないこと
- 他人とは争わず、円満な人間関係を維持すること
- お金や名誉といったものをむやみに求めようとしないこと
こういったことが、穏やかな眠りの前提条件となるのである。
このような道徳を守った上で、以下の40のことを実践すると、よく眠れるようになるであろう。
①まずは、1日に10個の努力をしなさい。どんな小さなことでもいいので、10個のチャレンジをしてみるとよい。
それはあなた方に心地よい疲労感を与え、あなた方を眠りに誘うであろう。
②そして、1日に10回自分を褒めなければいけない。
努力には苦痛がつきものだが、自分を褒めてあげることで心にバランスをもたらすだろう。
③次に、1日に10個のことを勉強しなさい。ちょっとした勉強でもいいので、1日に10個知識を蓄えてみるのだ。
起きている間に体だけでなく頭を使っておくことも、よい睡眠には重要なのである。
④最後に、1日10回笑わなければいけない。
憂鬱な気持ちはよい眠りの妨げとなる。だから、楽しいことを見つけて笑い、心から憂鬱な気持ちを追い出さなければならないのだ。
このようにみんなから敬われるような徳の高い行為に専念することで、あなたがたの1日はとても充実したものとなる。
そして、夜寝るときに布団の中でその日に実践した40のことを1つずつ思い出してみるとよい。
すると、思い出している間にあなたがたはもう眠ってしまっているだろう」
この講義を聴いた人々はみな感銘を受け、さっそくこの賢者の教えを実践してみようと心に決めました。
つまり、よく眠るために生きていこうと心に決めたのです。
ニーチェがこの話で伝えたかったこと
いかがでしたか? この話を聞いてあなたはどう思ったでしょうか?
――気持ち悪さを感じたでしょうか?
大衆と同じように、こんな愚かな話に感化されて欲しくはありません。
実は、この話は皮肉だったのです。
確かに、この話はよい睡眠を得るための方法論として参考になる部分はあるかもしれませんが、ニーチェはこの話を、大衆が信奉する道徳に対しての皮肉として取り上げたのです。
つまり、「所詮、道徳などよく眠れるようになる程度の取るに足らないものに過ぎない」ということです。
日々道徳を守りながら安寧に生き、世間で良いとされていることを有難がったところで、得られるものは「よい眠り」程度のものであり、道徳を信奉している人など「眠るために生きている人」なのです。
「眠るために生きている人」の人生は睡眠以外に目的のない、ほとんと無意味なものであり、そのような人は人生にそれ以上の意味を見出すことができないので、大衆が信奉する道徳に漫然と追従してしまうのです。
まさに↓のレクチャーで解説したニヒリズム(虚無主義)の中に生きる末人(まつじん)なのです。
ニーチェは末人が大嫌いです。あなたには「眠るために生きている人」などにはなって欲しくありません。
そうならないためにも↓のレクチャーを復習して、「末人から脱却して超人になるためにはどうすればよいか?」「ニヒリズムはびこる現代でどう生きるか?」をもう一度確認してください。
- 神は死んだ~ニヒリズム(虚無主義)の時代に君たちはどう生きるか~【ツァラトゥストラはかく語りき】
- 『ツァラトゥストラはかく語りき』からニーチェの思想を学ぼう!【ルサンチマン】【超人】【永遠(永劫)回帰】
ちなみに、今回の話はニーチェの主著である『ツァラトゥストラはこう言った(かく語りき)』(第一部 第二章「徳の講壇」)に皮肉とともに記されています。
『ツァラトゥストラはこう言った(かく語りき)』には、大衆が信奉する道徳のような、神が死んでもなお残る偶像を批判したり破壊したりする話がたくさん載っています。
※『ツァラトゥストラはこう言った』(上)(下)(ニーチェ著, 氷上英廣訳, 岩波文庫)
.jpg)
Amazonリンク→https://amzn.to/4l6DhjM
【ニーチェの哲学解説一覧】
☆『ツァラトゥストラはかく語りき』からニーチェの思想を学ぼう!【ルサンチマン】【超人】【永遠(永劫)回帰】