貧富の差

(1)富の偏在

国際非政府組織(NGO)オックスファムの報告書(2019)によると、世界の富裕層上位2100人の合計資産が、世界の総人口6割(46億人)の合計資産を上回るという。

そして、この格差は拡大し続ける。 格差の拡大は貧困を招き、貧困は社会や経済を不安定にする。

(2)なぜ格差が拡大し続けるのか(トマ・ピケティ著『21世紀の資本』より)

『21世紀の資本』では(世界各国の200年以上に渡る税金のデータを調べた上で)

【資本収益率(r)はつねに経済成長率(g)より大きいという不等式が成り立つ】

としている。

これは、「土地や株などに資本(資産)を投資して得られる富の方が、労働によって得られる富よりも成長が早い」ということを意味する。

つまり、資本を持つ人は、労働する人よりも早く自分の資本(富)を増やすことが出来るということである。

先に述べた通り、富は既に偏在している。そして、「r>g」の中で、お金持ちは「相続」によってお金持ちであり続け、格差は拡大しつづける[1]

(3)格差を是正するには

➀富裕層に対する所得の累進課税の強化

※累進課税:課税対象額が大きいほど税率が高くなる課税方法。所得の再分配効果等が

期待される。

②資産に対する累進課税の導入

所得だけでなく、株や不動産などのあらゆる「資産」に課税する。

しかし、問題点がある。

➀②を1つの国だけで行えば、その国の富裕層は国外(タックスヘイブン)へ逃げる。

したがって、1国だけでなく、全世界で一斉に➀②を行う必要がある。


[1] 格差拡大の原因を資産の「相続」ではなく,企業の「独占利潤」であるとする見方もある。前田 裕之.「21世紀の資本」の死角 格差の原因、相続より独占.日本経済新聞.2020-11-1,日本経済新聞電子版,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65362520T21C20A0000000/(参照 2021-5-11).