かなり多くの生徒は教科書を読んで理解することができていません。その原因は2つあります。
(1)そもそも教科書は難しく書かれている
(2)教科書を読もうとしない
この2つが原因です。
(1)そもそも教科書は難しい
実際に、数学の教科書を読んでみてください。
抽象的な言葉が多く、知識があることを前提とする記述も多いので、案外難しいのです。
教科書は正しく書かないといけないので、このように難しい言葉を使ったり、回りくどくなったりするのです。
そのため教科書をちゃんと読もうと思えば、ある程度の知能が必要で、あるいは、分からないときに調べたりする能力も必要なのです。
これらの能力が備わっていない生徒は、せいぜい例題の解き方の一部をマネする程度に留まり、理解とは程遠いところにあるのです。
(2)教科書を読もうとしない
上記の通り教科書は分かりにくいので、多くの生徒は教科書を全く読まないか、読んだとしても一部です。
それでは、生徒は何で勉強しているのかというと「授業」です。
「分かりやすい」言葉を使って説明してくれる授業で理解しようとし、「分かりやすい」言葉で説明されている参考書などを求めます。
こうして「分かりやすい」言葉だけで満たされた世界だけを好み、教科書みたいに「分からない」言葉が使われているものは読もうともしません。
そして、読まないうちに、「読めなく」なってしまったのです。
※これが、日本の教育が「授業」に支配されている理由です。生徒は「分かりやすい」授業だけを求め、先生は求められている「分かりやすい」授業だけをしておけば問題ないと考える、このある意味、需給のバランスがとれた状態から抜け出せないのが、現在の日本の教育業界です。
(3)教科書を読む必要はあるのか
それでは、「分かりやすい」言葉で教えてくれる「授業」があるのに、「分かりにくい」教科書を読む必要はあるのでしょうか。
結論から言うと、あります。理由は、教科書が読めなくなるからです。
「教科書」だけだなく、自分が「分からない」言葉で書かれている文章を読まないクセがついてしまうのです。
そうなると、得られる情報が限られてしまいます。実際に、大学入試でも教科書を読める生徒と読めない生徒では、知的能力にかなりの差があります。
また、最終的に、自分にとって「分かりやすく」話してくれる人が正しく、自分が「分からない」ことを言う人は間違っている、とまでなってしまう危険性があります。
(4)ではどうすればよいのか
教科書を読んでみましょう。
しかし、ただ字を追うだけでは「読む」ことにはなりません。
まずは教科書の読む単元を決めて、その単元の端から端まで全ての言葉の意味を正しく理解しようとしましょう。
分からない言葉を読み飛ばしたり、読みにくい部分をあいまいなまま読んでしまうクセがついているので、そういった言葉や気になることを見つけたら、印をつけて、調べて、メモを取りましょう。
とにかく少しでも分からない、あやしいと思ったら調べましょう。端から端までそれをしましょう。欄外に書かれていることも読み飛ばさないようにしましょう。
そして、最後に、読んだ部分の内容を誰かに、「教科書の言葉を使って」説明してみることができたらベストです。
①教科書に書かれている「難しい」言葉から逃げない→②分からないときは調べてみる→③「難しい」言葉を使って説明してみる
このサイクルを繰り返すことで、しだいに教科書が読めるようになるでしょう。
☆参考☆