労働問題についてまとめます。
(1)労働三権と労働三法
①三権:団結権・団体交渉権・団体行動権
※日本の公務員は争議行為は一律に禁止。警察・消防・自衛官は三権すべてなし。
②三法:労働組合法・労働関係調整法・労働基準法
ⅰ)労働組合法:争議行為での刑事・民事免責、不当労働行為の禁止
ⅱ)労働関係調整法:労働委員会が、斡旋・調停・仲裁によって調整
ⅲ)労働基準法:男女同一賃金、法定労働時間(1日8時間・週40時間以内、ただし労使協定があれば超えてもいい)、サービス残業の禁止
※フレックスタイム制(勤務時間帯を労働者が任意に決められる)、変形労働時間制(週40時間以内であれば1日の労働時間を8時間以上にしてもよい)、裁量労働時間制(成果報酬にして、労働時間は労働者が決める)
※最低賃金は最低賃金法に規定
(2)日本的雇用慣行
①終身雇用制
②年功序列型賃金
③企業別労働組合→労使協調路線が多くなる、正社員だけで構成されることが多い、労働組合の組織率は低下(約18%)
※欧米では産業別労働組合が基礎となっている
(3)失業問題
①日本の完全失業率は先進国の中で低い(2~3%)
②有効求人倍率=求人数÷求職者数
③ニート(Not Education, Employment, or Training)
④ワーキングシェアリング:一人当たりの労働時間を減らして、その分雇用を増やす
(4)賃金・労働時間問題
①ワーキング・プア:フルタイムで働いているが収入が生活保護水準より低い
②日本人の労働時間は先進国の中でも長い:全体の労働時間は短くなってきているが、それは非正規労働者が増えているから(正社員の労働時間は短くなっているとは言えない場合が多い)
③サービス残業
④過労死・過労自殺
⑤ブラック企業問題
(5)派遣労働問題
①2003年:製造業の派遣労働解禁→一気に派遣労働が広がる→ワーキング・プアの最大の原因?
②中間搾取(ピンハネ)では?←労働基準法が禁止している
③雇どめ:派遣先企業の都合で首を切られる可能性
(6)女性労働
①結婚・出産・育児のために途中で仕事をやめてしまう
②男女雇用機会均等法:募集・採用・配置・昇進での男女差別の禁止、セクハラ防止義務、間接差別(身長や体重などの条件で実質的に女性を差別するやり方)の禁止
③育児・介護休業法:5割の所得保障、男性の育児休暇取得率は極めて低い(約2%)
(7)高齢者の労働
①高年齢者雇用安定法:65歳に定年引上げor65歳までの継続雇用制度の導入or定年そのものの廃止、のいずれかを企業が選択
②団塊の世代(1947~49年生まれ)が2007~2009年にいっせいに退職→継続雇用や技能継承をどうするか
(8)障がい者雇用
①障害者雇用促進法:障害者雇用率2%を義務づけ→民間の多くは未達成
(9)外国人労働
①出入国管理及び難民認定法:単純労働目的の外国人受け入れはしない(例外としてブラジルなどの日系人は認められる)
②不法就労者
③外国人研修制度・技能実習制度といった名目で低賃金での単純労働を行っている
④生活習慣や文化の違いの問題
⑤排他的気質のある日本人からの差別