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(2)解説授業の原稿
関係代名詞thatの使い方
今回は、関係代名詞のthatについて解説します。
関係代名詞のthatは主格のwhoやwhich、あるいは目的格のwhomやwhichの代わりとして使える関係代名詞です。
whoは先行詞が人のときに使い、whichは先行詞が物のときに使いますが、thatは先行詞が人でも物でも使うことができる便利な関係代名詞です。実際にくだけた場面では、関係代名詞はwhoやwhichよりもthatのほうがよく使われるようです。
ただ、関係代名詞のthatはwhoとwhichと全く同じ使われ方をする、というわけではありません。関係代名詞のthatを使うことが好まれる場合や、逆に、関係代名詞のthatが使えない場合があります。特に関係代名詞thatが好まれる場合は、関係代名詞thatの特別用法と言ったりもします。
今回は、これらがどのような場合なのかについて解説します。
関係代名詞thatが好まれる場合
それではまず、関係代名詞thatが好まれる場合を解説します。
①先行詞に強い修飾語がついているとき
1つ目は先行詞に強い修飾語がついているときです。強い修飾語とは、最上級やthe firstやthe onlyやthe veryなどの形容詞のことです。ちなみに、このveryは「とても」という意味の副詞ではなく、「まさに」と訳す形容詞の、いわゆる「強調のvery」のことです。
例えば、
This is the hottest summer that we have had in twenty years.
この例文では、先行詞のsummerをthe hottestつまり最上級が修飾しています。そのため、その後ろの関係代名詞はwhichよりもthatが好まれます。
この例文を訳してみると、「今年の夏は、ここ20年以内で最も暑い夏です。」いったような意味になります。
②先行詞がーthingのとき
続いて、関係代名詞のthatが好まれる2つ目の場合ですが、それは先行詞がーthingのときです。ーthingとは、something, anything, everything, nothingのことです。
例えば、
Is there anything that I can do?
この例文では、先行詞がanythingになっているので、その後ろの関係代名詞はwhichではなくthatになります。
この例文を訳してみると、「何か私ができることはありますか。」といったような意味になります。
③先行詞がall, little, muchの場合
続いて、関係代名詞のthatが好まれる3つ目の場合は、先行詞がall, little, muchの場合です。これらが先行詞に修飾しているとき、というわけではなく、これら自身が先行詞になっているときということです。
例えば、
There was little that interested me.
この例文では、little自体が先行詞になっています。このような場合に使う関係代名詞は、whichではなくthatになります。
この例文を訳してみると、「私の興味を引くものはほとんどなかった。」といったような意味になります。ちなみに、littleは「少しある」ではなく「ほとんどない」という意味なので注意しましょう。
また、以上の3つは「関係代名詞thatを使うことが好まれる場合」なので、「絶対にthatを使わないといけない」というわけではありません。そのため、これらの場合でもwhichを使うこともあるので注意しましょう。
④先行詞が「人+物」のとき
関係代名詞が好まれる場合は、あと3パターンあります。
4つ目の場合は、先行詞が「人+物」のときです。先行詞が人と物の両方のときは、whoやwhichが使いづらいので、関係代名詞はthatを使います。
例えば、
Look at the girl and her dog that are running over there.
この例文では、先行詞がthe girlという人と、her dogという動物になっている(英語では動物は文法上、物扱いになる)ので、先行詞が「人+物」になるため、関係代名詞はthatを使います。
この例文を訳してみると、「あそこで走っている女の子と彼女の犬を見てください。」といったような意味になります。
⑤先行詞がwhoやwhichのとき
続いて、関係代名詞のthatが好まれる5つ目の場合は、先行詞がwhoやwhichのときです。このwhoやwhichは疑問詞のwhoやwhichということです。
疑問詞のwhoやwhichに関係代名詞のwhoやwhichをつけると、who whoやwhich whichのように同じ単語が連続して使われることになるので、それを避けるためにthatが使われます。
例えば、
Who that has common sense can do such a thing?
この例文では、先行詞がwhoなので、関係代名詞はthatが使われます。ここで、whoが人を表すので、関係代名詞もwhoを使うと、who whoとなり、やはりこれはおかしいということで、基本的にはwhoではなくthatを使います。
この例文を訳してみると、「常識のある誰がそのようなことができるだろうか。」あるいは「常識のある人は決してそのようなことはできないだろう。」といったような意味になります。
⑥関係詞節で補語が省略されているとき
そして、関係代名詞のthatが好まれる最後のパターンは、関係詞節で補語が省略されているときです。この場合は、実際に例文を見た方が分かりやすいと思うので、例文で確認します。
He is not the brilliant athlete that he used to be.
この例文では、先行詞はthe brilliant athleteですが、その後ろで関係代名詞を使っているということは、関係詞のルールから言うと、関係詞節で名詞が省略されているということになります。
そして、今回はbeの後ろに先行詞が省略されています。それはつまり、SVCのC(補語)が省略されているということなので、関係代名詞はthatが使われています。このように関係詞節を見て、C(補語)の部分が省略されている場合は、関係代名詞はthatを使うことが好まれます。
brilliantは「光り輝く」あるいは「すばらしい」という意味で、athleteは「運動選手」という意味で、used toは「かつて~したものだ」という意味なので、この例文は、「彼はかつてのような素晴らしい運動選手ではない。」といったような意味になります。
ちなみに、6番目のパターンの関係代名詞のthatは省略されることが多いです。
以上が関係代名詞のthatが好まれる場合、あるいは、関係代名詞のthatの特別用法と呼ばれるパターンです。
関係代名詞のthatが使えない場合
それでは次に、関係代名詞のthatが使えない場合を解説します。関係代名詞のthatが使えない場合は2つあります。
①非制限用法のとき
まず1つ目は、「, that」つまり非制限用法のときです。関係代名詞のthatには非制限用法はないので、,(コンマ)の後ろに関係代名詞のthatが来ることはありません。
例えば、
They admire him, which(×that) I find natural.
この例文は、「彼らは彼を賞賛している。そして、それは当然のことだと思う。」といったような意味になるのですが、関係代名詞の前にコンマがあり、非制限用法となっているので、この関係代名詞whichをthatとすることはできません。
ちなみに、非制限用法とは何か、あるいは、非制限用法の訳し方については別の動画で解説しているので、ぜひそちらもご覧になってください。
②「前置詞+that」のとき
続いて、関係代名詞thatが使えない2つ目の場合は、「前置詞+that」のときです。
例えば、
× The woman to that he was talking was his secretary.
この例文のように、toなどの前置詞の後ろに関係代名詞のthatを使うことはできません。このthatをwhomにすれば正しい文となります。
〇 The woman to whom he was talking was his secretary.
ちなみに、この関係詞節to that he was talkingを元の文にしてみると、
he was talking to the woman
このようになります。このto the womanの部分を関係代名詞に変えて、toごと前に出しているというわけなのですが、そういったときに関係代名詞のthatを使うことはできないということです。
ただし、関係代名詞のthatが使えないのは前置詞の後ろなので、下の例文のように、前置詞を前に持ってこないで後ろに残した場合は、関係代名詞のthatを使うことができます。
〇 The woman that(whom) he was talking to was his secretary.
つまり、元の文のthe womanの部分を関係代名詞に変えて、関係代名詞だけを前に持ってくれば、thatでも(もちろんwhomでも)OKということになります。
この例文を訳してみると、「彼が話していた女性は、彼の秘書でした。」といったような意味になります。
いかがだったでしょうか。今回解説したことは、特に英作文などをするときに注意してください。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)関係詞(英文法)の解説一覧
①関係詞を使うときに守らないといけないルール(関係代名詞、関係副詞、前置詞+関係代名詞、関係詞とは何か、先行詞についても解説しています)
②どの関係詞を使うのかを確実にマスターしよう!(関係代名詞、関係副詞、前置詞+関係代名詞、That is why、This is howについても解説しています)
③関係代名詞thatを使うことが好まれる場合(関係代名詞thatの特別用法)と関係代名詞thatが使えない場合を解説します!
④関係詞の非制限用法の訳し方のポイント(制限用法と非制限用法の違い、関係詞節が挿入されているとき、先行詞が文のときの関係詞whichについても解説しています)
☆その他の英文法の解説はこちら→英文法の解説動画・授業動画一覧
(5)参考
☆覚えるべきイディオム一覧(助動詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、関係詞、比較、否定、群前置詞、動詞、名詞、形容詞、副詞)
☆ここに受験英文法が全てまとめてあります→英文法のすべて(解説・授業・確認テスト一覧)