訓読(書き下し文)とは、漢文を古文の時代の人が和訳したもののことです。つまり、昔の日本人が漢文をどのように読んだかが、訓読(送り仮名や返り点)に表れているのです。
古文の時代の人が、古文文法の知識だけで(英文法の知識がない状態)で理解しきれないものには、工夫、あるいは、こじつけが生じます。
以下にその例を挙げます。
①他動詞、前置詞、関係詞などには返り点がつく
→日本語と読む順番が違うため。
②置き字:於・于・乎
→日本語には前置詞がないため、古文和訳できなくて読めなかった。
③置き字:而
→接続助詞として読んでいる(「テ」「シテ」「デ」「ドモ」など)が、接続助詞は送り仮名で表記することに日本人が決めたので、置き字の「而」は読まない。
④再読文字:将・当・応・宜・須
→古文文法には推量の助動詞が「む」と「べし」しかなく、「将・当・応・宜・須」に相当する一語の助動詞が存在しなかったため、副詞を加えて読むことにしたため、(日本人は)二度読むことになった。
⑤再読文字:未・猶・盍
→これも③同様、対応する一語が存在しなかったため、副詞を加えて読むことにした。
⑥名詞の送り仮名には基本的に「ハ・ニ・ヲ」がつく
→漢文には助詞(後置詞)はない。
⑦形容動詞化
→後置修飾(副詞を動詞より後ろに持ってきて修飾させること)は、古文文法にはないため、後置修飾の副詞は形容動詞として処理した。