(1)例題
気柱の共鳴について考える。ただし、空気中の音速を340m/sとし、ガラス管の開講端補正は無視できるものとする。
太さが一様で長さが50cmのガラス管が2本ある。一方は両端が開いた開管A、他方は一端が閉じた閉管Bである。下図のように、空気中で2本のガラス管の開口端の近くに発振器につながれたスピーカーを置き、同じ周波数の音波を二つスピーカーから発生させる。この音波の周波数を、0Hzからゆっくり増加させていく。
①最初の共鳴は閉管Bで生じた。このときの音波の周波数f1を求めよ。
②2度目の共鳴と3度目の共鳴は、どちらのガラス管で生じたか、それぞれ答えよ。
③次に、ヘリウムガスを満たした箱の中に閉管Bを置いた。発振器につないだスピーカーを開口端付近に置いて音波を発生させる。この音波の周波数を、0Hzからゆっくり増加させていく。最初の共鳴が生じたときの音波の周波数f2はf1の何倍か。また、この共鳴が生じているとき、定常波の節の数はいくつか。ただし、ヘリウムガス中の音速は、空気中の音速の3倍であるとする。
(2019年センター試験本試物理基礎第2問A)
(2)例題の答案
①閉管内の気柱の固有振動では、管の閉端では腹、開口で腹となる定常波が生じる。最初に閉管Bが共鳴するときの音波の波長をλ1とすると、閉管の基本振動においてはガラス管の長さが1/4波長なので、
0.50=λ1/4
∴ λ1=2.0m
空気中の音速は340m/sなので、波の式より
340=f1・2.0
∴ f1=170Hz
②音波の周波数を増加させていくと、音速は一定なので、音波の波長が短くなっていく。
開管における基本振動となるのは、ガラス管の長さが音波の波長の1/2となるときであり、開管における2倍振動となるのは、ガラス管の長さが音波の波長のと等しくなるときである。
一方、閉管における3倍振動となるのは、ガラス管の長さが音波の波長の3/4となるときであり、閉管における5倍振動となるのは、ガラス管の長さが音波の波長の5/4となるときである。
よって、2度目の共鳴は開管Aで生じ、3度目の共鳴は閉管Bで生じる。
③音速が変わっても、閉管の基本振動における音波の波長は変わらない。音速をV、基本振動数をf、音波の波長をλとすると、波の式より
f=V/λ
であるので、波長が変わらず、音速が3倍になれば、音波の周波数は3倍になる。
また、閉管の基本振動における音波の波長は変わらないので、定常波の節の数も変わらず1つである。
(3)解法のポイント
気柱の問題は、定常波となるとき(共鳴するとき)を図で考えましょう。
(4)必要な知識
①気柱
②波の基本式
(5)理解すべきこと
①定常波についてのまとめ(定常波とは何か、固定端反射と自由端反射、弦で発生する定常波、気柱で発生する定常波、固有振動とは、音(縦波)の大きさ(密度の変化)が最大になるときについても解説しています)