政治の常識

政治・経済の分野における常識レベルの教養をまとめます。

(1)法の支配

①人の支配(為政者からの恣意的政治)の否定

②法治主義(形式と手続きを重視して内容を問わない、「悪法も法なり」)とは違い、法の内容を重視する

(2)国民主権

①国政についての最終意思決定権が国民にある

②間接民主制

③直接民主制:イニシアティブ(国民発案)、レファレンダム(国民表決)、リコール(国民解職)

(3)権力分立

①三権分立(立法府、行政府、司法府)

②地方分権、二院制、参審制

③抑制と均衡

(4)人権の保障

①自由権:国家からの自由→自由放任主義(夜警国家)

②参政権:国家への自由

③社会権:国家による自由→福祉国家

④1948年:世界人権宣言(法的拘束力なし)→1966年:国際人権規約(法的拘束力あり)

⑤難民条約:人種的・宗教的・政治的理由による難民の保護(経済難民、環境難民は含まない)、国外追放や強制送還の禁止、国連難民高等弁務官(UNHCR)担当

⑥人種差別撤廃条約→対アパルトヘイト、アイヌ文化振興法の制定につながった

⑦女性差別撤廃条約→男女雇用機会均等法と国籍法改正

⑧子どもの権利条約:18歳未満の子供の意見表明権を認める、子供は権利行使の主体とする

(5)各国の政治制度

①イギリス:立憲君主制+議院内閣制(議会の多数派が内閣を組織)、不文憲法

②アメリカ:大統領制、厳格な三権分立(大統領は議員や長官を兼任できない、大統領は議会に法案を提出できない)

③フランス・ドイツ:大統領と内閣総理大臣が併存

④中国:全国人民代表大会に全ての権力が集中、中国共産党総書記が指導的役割を果たし国家主席も兼ねている

(6)日本の政治制度

①日本国憲法の三大原理:国民主権・基本的人権の尊重・平和主義

②象徴天皇制(天皇は国事行為のみ行う、内閣の助言と承認にもとづく)

③憲法は国民が為政者を拘束するためのもの、国民が制定・改正するもの

④憲法改正の手続き

両議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議→国民投票で過半数の賛成→国民の名でただちに公布

⑤自衛隊についての政府の見解

ⅰ)自衛隊は「実力」(「戦力」ではない)

ⅱ)個別的自衛権は憲法上も認められる

ⅲ)集団的自衛権は限定容認

⑥日本の防衛原則

ⅰ)専守防衛

ⅱ)文民統制

ⅲ)GNP1%枠

ⅳ)武器輸出禁止

⑥国会は「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」

⑦二院制の意義:審議を慎重にできる、多様な民意を反映できる

⑧衆議院の優越:予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名、法律案の議決

⑨三権分立

国会→裁判所:弾劾裁判所の設置

国会→内閣:内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議権

内閣→国会:衆議院の解散

内閣→裁判所:最高裁判所長官の指名、その他の裁判官の任命

裁判所→国会:違憲審査権

裁判所→内閣:命令・規則・処分の適法性の審査

⑩裁判員制度:市民は事実認定のみを行う、量刑は裁判官

(7)基本的人権の保障

①基本原理:永久不可侵性、個人の尊重(全体のために個人を犠牲にしてはならない)

②制約原理:公共の福祉

③法の下の平等

④自由権:精神的自由(思想・良心の自由、表現の自由)・人身の自由・経済的自由(職業選択の自由、財産権の保障)

⑤社会権:生存権・教育を受ける権利・勤労権・労働三権

⑥参政権

⑦請求権:請願権・裁判を受ける権利・国家賠償請求権・刑事補償請求権

⑧幸福追求権:プライバシーの権利(自己に関する一切の情報をコントロールできる権利)・知る権利・アクセス権・環境権

(8)日本の選挙

①衆議院:小選挙区比例代表並立制、拘束名簿式(名簿順位は各党が決める)、重複立候補も可能

②参議院:各都道府県の選挙区選挙+非拘束名簿式比例代表制(個人票の多い順に当選者が決まる)

③マニフェストの配布→政策本位の選挙へ気体

④一票の格差

⑤大衆社会化→政治的無関心→投票率の低下

対策:期日前投票の導入、ネットを使った選挙運動の解禁

(9)世界の社会保障

①イギリス・北欧型:公費負担中心(給付水準が均一だが高負担)

②大陸型:保険料中心(制度が安定的だが給付に格差)

※アメリカ・日本は折衷型

(10)日本の社会保障

①国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)は約40%(アメリカ30%、ヨーロッパ諸国は約50%)

②4つの柱:公的扶助、社会保険、社会福祉、公衆衛生

ⅰ)公的扶助:生活保護

ⅱ)社会福祉:社会的弱者(児童・障害者・老人・母子及び寡婦)にサービスや手当を支給、保育所

ⅲ)公衆衛生:保健所、伝染病予防、食品の安全管理

ⅳ)社会保険:医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険

③3つの医療保険→国民皆保険

ⅰ)健康保険:民間被用者

ⅱ)共済組合:公務員

ⅲ)国民健康保険:自営業者、農家

④3つの年金保険

ⅰ)国民年金:基礎年金(20歳以上のすべての国民が加入、学生も強制加入)

ⅱ)厚生年金:民間被用者

ⅲ)共済年金:公務員

※年金給付方法:積立方式から賦課方式への移行(積立金だけではインフレに対応できず、現役世代の保険料を流用)→少子高齢化の場合、若い世代の負担が多くなってしまう

⑤雇用保険:失業給付、職業訓練への助成、育児休業給付など

⑥労災保険は保険料を事業主が全額負担している

⑦介護保険制度:40歳以上の全国民が保険料を負担、市町村が運営、本人負担1割

(11)少子高齢化社会

①日本の老年人口比率は28%以上

※医療技術の進歩による長寿化+少子化が原因

②日本の合計特殊出生率は1.36(2019年)

※日本の人口維持には2.07必要だと言われている

③少子化対策:育児・介護休業法、新エンゼル・プラン(子育て支援策)、少子化社会対策基本法(不妊治療への助成、保育サービスの充実)、待機児童の対策

④高齢化対策:介護保険、ゴールドプラン21(特別養護老人ホームやホームへルパーの拡充)

⑤後期高齢者医療制度:原則全員から保険料を徴収、70~74歳の本人負担は2割

※現役世代の本人負担は3割