市場の失敗

(1)市場の失敗とは

自由な経済活動に任せておいた結果、市場のメカニズムが十分に機能しなくなること。①公共財・公共サービスの供給不足、②外部効果、③情報の非対称性、④独占や寡占といった不都合が起きる。

(2)なぜ問題が起きるのか

①公共財・公共サービスの供給不足

→需要はあるが民間では利益を出しづらい財やサービスは、民間企業では社会的必要を満たすことができない。道路・信号・堤防・警察・消防など。料金を払わない人(フリーライター)を排除できない(非排除性)、誰かが利用しているからといって他人の利用を制限できない(非競合性)という特徴がある。

②外部効果

→経済的取引によって当事者以外の第三者に影響を与える効果。第三者が利益を得た場合は外部経済、不利益を生じたら外部不経済という。前者は遊園地ができたことによって周りの商店が栄えることなど、後者は公害などが例である。

③情報の非対称性

→商品に関して持っている情報が売り手と買い手で差がある場合に、市場メカニズムが機能しにくくなる。

④独占・寡占

→自由競争の結果、弱い企業が淘汰され、強い企業だけがどんどん大きくなった結果生じる。製品の値段を高く設定しやすくなる(価格の下方硬直化)

※独占の形態:カルテル(協定を結ぶ)、トラスト(同種産業で合併)、コンツェルン(財閥)

※異業種の企業結合はコングロマリット

(3)対策

④独占禁止法

→公正取引委員会の監視のもと運用。カルテル全面禁止、トラストの制限、再販売価格維持制度(メーカーが小売店に価格を指定すること)の原則禁止、ダンピング(不当な値下げ)禁止、談合(話し合って競争をやめる)禁止。