(1)例題
下図のように、小球を速さv0で鉛直上向きに発射できる装置を備えた台車が水平な床の上にある。ただし、重力加速度の大きさをgとし、空気抵抗は無視できるものとする。
①時刻t=0に、静止した台車から小球を打ち出した。小球が最高点に到達する時刻を表せ。
②次に、一定の速度Vで動く台車から小球を打ち出す。このとき小球が到達する最高点の高さを求めよ。また、小球が打ち出された位置から落下した位置までの水平距離を求めよ。
(2018年センター試験本試物理基礎第3問A改)
(2)答案
①小球が最高点に到達したときは速度の鉛直方向成分が0であるから、その時刻をt1とすると、鉛直投げ上げの式より
0=v0−gt1
∴ t1=v0/g
②台車から打ち出された小球の運動を床に静止した観測者が見ると、水平方向には台車の速度と等しい速度での等速直線運動を、鉛直方向には初速度v0の鉛直投げ上げ運動を行っている。
よって、小球が最高点に到達するまでの時間はと変わらないため、最高点の高さをyとすると
y=v0t1−½gt12=v02/g−v02/2g=v02/2g
また、小球が打ち出されてから落下するまでの時間をt2とすると
t2=2t1=2v0/g
小球は水平方向には速度Vで等速直線運動をしているので、打ち出された位置から落下した位置までの水平距離をxとすると
x=Vt2=2Vv0/g
※ちなみに、台車と小球の水平方向の速度はともにVなので、打ち出された小球は、落下したとき発射装置の中に戻ってくる。
(3)解法のポイント
放物運動は、鉛直方向と水平方向に分解して考えるのが鉄則です。鉛直方向は加速度±gの等加速度直線運動、水平方向は等速直線運動となります。
(4)必要な知識
①鉛直投げ上げ
②放物運動
→水平方向(x軸)と鉛直方向(y軸)に分けて考える
(5)理解すべきこと
放物運動の問題の考え方について理解しましょう→放物運動の考え方(水平投射、斜方投射、斜面での斜方投射、飛行機から物体を落とす、台車から物体を打ち上げる)
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(6)参考
☆平面内の運動の勉強法はこちら→平面内の運動
☆力学の勉強法はこちら→力学の勉強法