(1)例題
下図に示すように、ポリビニルアルコール(繰り返し単位の式量44)をホルムアルデヒドの水溶液で処理すると、ヒドロキシ基の一部がアセタール化されて、ビニロンが得られる。ヒドロキシ基の50%がアセタール化される場合、ポリビニルアルコール88gから得られるビニロンは何gか。ただし、H=1, C=12, O=16とする。
↓ホルムアルデヒドの水溶液
(2015年センター試験本試化学第5問問3)
(2)例題の答案
ポリビニルアルコールの重合度をnとすると、ポリビニルアルコールの分子量は44nとなる。
ここで、ポリビニルアルコールの繰り返し単位2つ(式量88)がアセタール化したとすると、その式量は12だけ増加し100となる。ポリビニルアルコールを式量88の繰り返し単位で重合度n/2と考えると、ヒドロキシ基の50%がアセタール化したビニロンは、(アセタール化していない)式量88の繰り返し単位n/4個と(アセタール化した)式量100の繰り返し単位n/4個による化合物となる。よってビニロンの分子量は
88×n/4+100×n/4
ポリビニルアルコールとビニロンの物質量は等しいので、求めるビニロンの質量をw〔g〕とすると
88/44n=w/(88×n/4+100×n/4)
∴ w=94〔g〕
(3)解法のポイント
アセタール化など複数の繰り返し単位にまたがった反応(架橋反応)を考えるときは、複数の単位を1つの単位とみなすと考えやすくなります。
つまり、今回で言えば、ポリビニルアルコールを式量44の繰り返し単位n個ではなく、式量88の繰り返し単位n/2個と考える、ということです。
~参考~
☆有機化学の勉強法←有機化学知識テスト一覧はこちら
☆化学の解説動画・授業動画一覧(化学基礎・理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物)