コイルを貫く磁束を変化させる

(1)例題

図aのように、抵抗の無視できる断面積SのN回巻きコイルを、ダイオード、抵抗器およびスイッチからなる回路につなぎ、時間tとともに変化する一様な磁束密度Bの磁場の中に置いた。コイルの中心軸は磁場の方向に平行であり、Bは右向きを正とする。ただし、コイルの自己誘導の影響はないものとする。

図a

①スイッチをP側に入れて、磁束密度Bを図bのように変化させた。三つの時間範囲(0<t<T, T<t<2T, 2T<t<3T)において、抵抗器に電流は流れるか。それぞれ答えよ。

図b

②スイッチをQ側に入れて、磁束密度Bを図bのように変化させた。三つの時間範囲(0<t<T, T<t<2T, 2T<t<3T)において、抵抗器に電流は流れるか。それぞれ答え、流れるときは、コイルの両側の電圧の大きさを表せ。

(2017年センター試験本試物理第2問B)

(2)例題の答案

コイルを貫く磁束が変化すると、コイルには誘導起電力が生じ、抵抗器を含む回路に電流が流れる。よって
0<t<Tのとき、電流が流れる。
T<t<2Tのとき、電流は流れない。
2T<t<3Tのとき、電流が流れる。

①の場合、
0<t<Tのとき、コイルを貫く磁束は右向きに増加するから、誘導起電力は、その変化を妨げる左向きの磁束をつくるように、抵抗器を左から右向きに電流を流すように生じる。
2T<t<3Tのとき、コイルを貫く磁束は右向きに減少するから、誘導起電力は、その変化を妨げる右向きの磁束をつくるように、抵抗器を右から左向きに電流を流すように生じる。

また、ダイオードは左から右向きにのみ電流を流す。したがって
0<t<Tのとき、電流が流れる。
T<t<2Tのとき、電流は流れない。
2T<t<3Tのとき、電流が流れない。

さらに0<t<Tのとき

(3)解法のポイント

電磁誘導は磁束が変化したときに起きます。たとえ磁場の中にコイルがあっても、コイルを貫く磁束が変化しない限り、誘導起電力は生じません。

また、生じる誘導電流の向きはレンツの法則と右ねじの法則を使って考えます。

(4)必要な知識

①レンツの法則

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②ファラデーの電磁誘導の法則