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電磁誘導と力学的エネルギー

(1)例題

内側がなめらかで、長さおよび内径が同じ銅パイプとガラスパイプを鉛直に立て、それぞれのパイプの上端で強い磁石を静かに放し、パイプ内を落下させた。どちらのパイプの方が磁石の落下時間が長いか、理由とともに答えよ。

(2016年センター試験本試物理基礎第1問問5改)

(2)例題の答案

銅パイプは導体なので電磁誘導によって電流が流れるが、ガラスパイプは不導体なので電磁誘導は起きない。そして、銅パイプ内を磁石が落下するときは、力学的エネルギーの一部がジュール熱に変換されるが、ガラスパイプの中を磁石が落下するときは、重力だけを受けるので力学的エネルギーは保存される。よって、銅パイプ内の磁石は、ガラスパイプ内の磁石よりも、位置エネルギーから運動エネルギーに変わる量が少なるので、磁石の落下時間は、銅パイプの方が長くなる。

※「銅パイプを一巻のコイルと考えると、銅パイプを貫く、磁石から出る磁力線の変化を妨げる方向に、銅パイプは磁力線を作るように誘導電流を流す(レンツの法則)。それにより、磁石は斥力を受けるので、落下に要する時間は長くなる」のような答案でもよい。

(3)解法のポイント

電気的なエネルギーも、力学的エネルギーと同様にエネルギー保存則が適用されます。そのため、物体の運動などによって、電気的な作用をおよぼしたのなら、それは力学的エネルギーを電気エネルギーに変換したということになります。

また、電磁誘導が、物体の運動の変化を妨げる現象である、ということも意味しています。

(4)必要な知識

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