(1)解説授業動画
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(2)解説授業の原稿
虚像とは何か
虚像とは何かについて解説します。
虚像とは、実際に通過している光線はないが、観測者がそこから光線が出ているように錯覚している像のことです。
虚像はあくまで目の錯覚であるということがポイントとなります。例えば、下図のように水の中に物体を置き、その物体を水の上から見ると、どのように見えるでしょうか。
実際の光線は黒い実線のようになります。水と空気の境目で光は屈折し、このように曲がって進みます。
しかし、人は光線を直線でしか認識することができません。そのため、実際の光は、黒い実線のように進んでいますが、人は、光線を直線でしか認識できないので、点線のように光が進んでいると錯覚してしまいます。
したがって、物体は点線の位置にあり、この位置からまっすぐ光が進んで目に届いていると錯覚し、実際よりも浮いた位置に物体があるように見えてしまうのです。
このように、その位置には実際は何もないけれど、そこから光が出ていると錯覚している像のことを虚像と呼んでいます。虚像は、光が屈折や反射などをして進む経路が曲がったときに生じる目の錯覚によってできる像です。
ちなみに実像とは、実際にすべての光線が通過してできた像のことです。
それでは凸レンズ、凹レンズ、凸面鏡、凹面鏡でどのような実像あるいは虚像ができるかを確認していきます。
凸レンズの像のでき方
それではまず、凸レンズの像のでき方を確認します。
凸レンズの場合、物体が焦点よりも外側にあるときと、物体が焦点よりも内側にあるときで、像のでき方が違うので、分けて考えます。
物体が焦点よりも外側にあるとき
基本的に物体からは全方位に光が出ています。ただし、凸レンズの場合は3本の光線はどのように進むかが分かるので、基本的に3本の光線を引いて像を考えます。
①まず、光軸(レンズの中心と焦点を結んだ線)と平行な光線はレンズを通過した後、レンズ後方の焦点を通ります。
②次に、レンズの中心を通る光線は、そのまま直進します。
③そして、レンズ前方の焦点を通る光線は、レンズを通過した後、光軸に平行に進みます。
すると、物体が焦点よりも外側にあるときは、物体の先端から出た光はレンズを通過後、下図の位置に集まることになります。
よって、この場合にできる像は、実際の光が集まってできた像なので、これは実像です。
ちなみに注意しておきたいことは、物体から出た3本の光線だけが実像の位置に集まるのではなく、物体から出た全ての光線が実像の位置に集まります。
そのため、例えば、下図のように進んできた光線はレンズを通過した後、全て一点に向かっていきます。
したがって、例えばレンズの上半分を隠したとしても、レンズの下半分を通る光が存在するので、像が欠けたり消えたりすることはありません。ただし、隠した分だけ光の量が減るので、像が薄くはなります。
物体が焦点よりも内側にあるとき
それでは次に、物体が焦点よりも内側にあるときはどのような像ができるか考えてみます。物体が焦点より内側にある場合は、2本の光線を考えることができます。
①光軸に平行な光線はレンズを通過後、後方の焦点を通る。
②そして、レンズの中心を通る光線はそのまま直進する。
この2本の光線を考えるのですが、この2本の光線は交わることがありません。そのため、実像を作りません。
しかし、レンズの右側からこの光線を見てみると、実際は屈折しているのですが、人は光線の屈折を認識することができず、光線はまっすぐ進んできていると錯覚してしまいます。
そのため、下図の点線のように、まっすぐ光が出ていると錯覚してしまい、虚像が見えてしまうのです。
この像は実際の光が集まっている像ではないので、虚像です。
これが凸レンズによって出来る像です。繰り返しになりますが、実像は実際の光が集まってできる像で、虚像には実際の光は集まっていません。
そのため、スクリーンを置いて像を作ることができるのは実像の方で、虚像の位置にスクリーンを置いても、そのスクリーンには何も映りません。あくまで、レンズの右側から見た人が、光がそこから出ているように錯覚して見えているだけなのです。
凹レンズの像のでき方
それでは次に、凹レンズです。凹レンズの像を考えるときも、3本の光線を考えます。
①まずは光軸に平行な光線です。この光線はレンズを通過後、レンズ前方の焦点を通る直線上を進むことになります。
②次に、レンズの中心を通る光線はそのまま直進します。
③そして最後にレンズの後方の焦点に向かう光線は、レンズを通過後、光軸に平行な光線となります。
このように3本の光線を引いてみると、これらは交わらないことが分かります。
そのため、凹レンズの場合は実像を作ることはありません。
しかし、レンズの右側から見ると、実際は実線のように進んでいる光線は、点線のように進んでいると錯覚します。すると、図の青い像の位置にある物体から光が出ているように錯覚するので、ここに虚像があるように見えるのです。
ちなみに、凹レンズの場合は物体を焦点よりも内側に置いたとしても同じように虚像ができます。そのため、凹レンズは物体の位置に関係なく虚像ができます。
凸面鏡が作る像
次に、凸面鏡が作る像を考えてみます。
凸面鏡や凹面鏡など、鏡の面が球面になっている鏡のことを球面鏡といいます。球面鏡は鏡なので、その表面で光を反射します。その反射した光によって、どのような像ができるか考えてみましょう。
凸面鏡の像を考えるときは、次の3つの光線を考えます。
①まずは光軸に平行な光線は球面にぶつかった後は焦点を通る直線上に反射します。
②次に、球面の中心に向かう光は、そのまま逆向きに反射されます。
③そして凸面鏡の焦点に向かう光線は、光軸に平行に反射して進みます。
このように、反射された後の光は交わることがないので、凸面鏡の場合、実像は出来ません。
しかし、右側から見ると、実際は実線のように進んでいる光は、点線のように進んでいると錯覚します。すると、これらの光は、図の青い像の位置にある物体から出ているように錯覚するので、観測者はこの位置に虚像が見えます。
凹面鏡が作る像
それでは最後に凹面鏡です。
物体が焦点よりも外側にあるときと物体が焦点よりも内側にあるときで分けて考えます。
どちらの場合でも考えるべき光線は3つあります。
①まずは光軸に平行な光線は、焦点を通るように反射します。
②次に、球面の中心に向かう光線は、そのまま逆向きに反射されます。物体が焦点よりも内側にある場合でも球面の中心を通る直線上に進む光線は、そのまま逆向きに反射されます。
③そして最後に焦点を通る光線は、光軸に平行に反射します。物体が焦点よりも内側にある場合でも焦点を通る直線上の光線は光軸に平行に反射します。
物体が焦点よりも外側にある場合
物体が焦点よりも外側にある場合は、実際の光が下図のように集まります。
そのため、実際の光が集まってできる像なので、実像ができます。
物体が焦点よりも内側にある場合
また、物体が焦点よりも内側にある場合は、実際の光は交わることはありません。
しかし、左側から見ている人にとっては、実際は実線のように進んでいる光は、点線のように進んできたように錯覚します。すると、これらの光は、図の青い像から出ているように錯覚するので、この位置に虚像が見えます。
いかがだったでしょうか。虚像とは何かについて理解できたと思います。また、レンズや球面鏡が作る像についても確認できたと思います。もしどのような像ができるのか分からなくなった場合は、今回確認した光線の進み方を自分で作図して確認してみてください。
(3)解説授業の内容を復習しよう
(4)光(波動)の解説一覧
②虚像とは何か(水中の物体が浮き上がって見える理由、凸レンズ・凹レンズ・凸面鏡・凹面鏡の像のでき方についても解説しています)
(5)参考
☆物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)
☆物理に関する現象や技術(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)