サイトアイコン 大学受験の王道

薄膜の干渉

(1)例題

図のように、振動数fの単色光が、空気中から一様な厚さdの薄膜に垂直に入射している。境界面Aで反射した光と、境界面Bで反射した光は、空気中で干渉する。空気の絶対屈折率を1、薄膜の絶対屈折率をnとする。光の位相は、境界面Aで反射するときにはπだけ変化するが、境界面Bで反射するときには変化しない。

①境界面Aから薄膜に入り境界面Bで反射した光は、再び境界面Aに到達する。この光が薄膜内を往復するのに要する時間tを表せ。ただし、真空中における光の速さをcとする。

②境界面Aと境界面Bで反射した二つの光が強め合う条件を、正の整数mを用いて表せ。

③厚さを調整できる薄膜に対して垂直に単色光を入射させた。薄膜が光の波長より十分に薄いとき、単色光の色によらず二つの反射光は{ア:強めあった・弱めあった}。その状態から薄膜を徐々に厚くしていくと、二つの反射光は一度{イ:強めあった・弱めあった}後、厚さd1のとき再び{ウ:強めあった・弱めあった}。単色光が赤色・緑色・青色の場合で比較すると、d1が最も小さいのは{エ:赤・緑・青}色の場合であった。
{ }の中から適切な語句を選べ。

(2016年センター試験本試物理第3問B)

(2)例題の答案

③ア:薄膜が光の波長より十分に薄いときは、薄膜の厚さを無視できるので、光路差はないものとみなすことができる。境界面Aで反射した光の位相と境界面Bで反射した光の位相はπだけずれているから、それら二つの反射光は弱めあう。

イ:アの状態から薄膜を徐々に厚くしていくと、②におけるm=1の状態となり、二つの反射光は強めあう。

ウ:一度強めあった後なので、弱めあう。

エ:二つの反射光が弱めあう条件は、mを整数として
2nd=mλ (m=0, 1, 2, 3……)
厚さd1はm=1のときだから、
2nd1
d1=λ/2n
よって、赤色・緑色・青色の単色光の中でd1が最も小さくなるのは、波長が最も小さい青色の単色光である。

(3)解法のポイント

光学距離とは、光が屈折率nの媒質内を進む時間で、空気中で進むことのできる距離のことです。例えば、今回であれば、光は時間tで薄膜を2d進んだわけですが、空気中であれば時間tで2nd進めるということです。

薄膜の干渉を考えるときは、光学距離を使った方が考えやすくなります。

(4)必要な知識

①絶対屈折率

②薄膜による光の干渉

※以下は覚える必要はないが、式の形は知っておこう。

モバイルバージョンを終了