必要条件・十分条件

(1)例題

kを定数とする。自然数m, nに関する条件p, q, rを次のように定める。
p:m>k または n>k
q:mn>k2
r:mn>k
以下の(   )に当てはまるものを、{必要条件であるが十分条件ではない・十分条件であるが必要条件ではない・必要十分条件である・必要条件でも十分条件でもない}から選べ。

①k=1とする。
pはqであるための(   )

②k=2とする。
pはrであるための(   )

③k=2とする。
pはqであるための(   )

(2012年センター試験本試数学ⅠA第1問〔2〕より)

(2)例題の答案

p⇒qの対偶は、「mn≦1ならばm≦1かつn≦1」なので、m, nが自然数であることを考えれば対偶は真。よってp⇒qも真。

q⇒pの対偶は、「m≦1かつn≦1ならばmn≦1」なので、対偶は真。よってq⇒pも真。

したがって、pはqであるための必要十分条件である。

p⇒rの対偶は、「mn≦2ならばm≦2かつn≦2」なので、対偶は真。よってp⇒rも真。

r⇒pの対偶は、「m≦2かつn≦2ならばmn≦2」なので、対偶は偽(反例:m=2, n=2)。よってr⇒pも偽。

したがって、pはqであるための十分条件であるが必要条件ではない。

p⇒qの対偶は、「mn≦4ならばm≦2かつn≦2」なので、対偶は偽(反例:m=4, n=1)。よってp⇒qも偽。

q⇒pの対偶は、「m≦2かつn≦2ならばmn≦4」なので、対偶は真。よってq⇒pも真。

したがって、pはqであるための必要条件であるが十分条件ではない。

(3)解法のポイント

P→Qが真のとき十分条件、Q→Pが真のとき必要条件となります。

解法の手順としては、

①P→Qの真偽を確かめる

②Q→Pの真偽を確かめる

のように分けて順番に考えるようにしてください。

真偽は集合で考えたほうがやりやすい場合が多いです(特に不等式がある場合)

また、真偽を確かめるときに、そのままではやりにくい場合は対偶を利用してみましょう(対偶の真偽は元の命題の真偽と一致する

「〜ない」「少なくとも〜」「〜または……」などがあった場合は、対偶をとるとうまくいくことが多いです。

(4)必要な知識

①「p⇒qが真」⇔ P⊂Q

②反例の見つけ方

→pならばqの反例:pを満たし、かつ、qを満たさないもの

③pはqであるための○○条件

・p⇒qが真:十分条件

・q⇒pが真:必要条件

・p⇒qが真、かつ、q⇒pが真:必要十分条件(同値)

④対偶

命題の真偽を考えるときのコツを理解しましょう→命題の真偽を集合で考えてみましょう!(命題の真偽と集合の関係、「P⇒Qが真」⇔「P⊂Q」)