以下に、ファント・ホッフという人が第1回ノーベル化学賞受賞記念講演において、希薄溶液と気体の類似性について述べた部分を抜粋しています。
Osmotic pressure and chemical equilibrium
It was found that with sufficiently dilute solutions the osmotic pressure was the same as the gas pressure, i.e. the pressure which the dissolved substance would exert as gas. To some extent this is obvious: Just as one imagines the gas pressure P to arise as a result of the movement of molecules and of their collisions with the walls, so can one imagine the osmotic pressure Π to arise as a result of the collisions of the dissolved molecules with the semi-permeable membrane surrounded by the solvent.
(Jacobus Henricus van’t Hoff: Nobel Lecture, December 13, 1901)
【和訳】
浸透圧と化学平衡
十分に希薄な水溶液において、浸透圧は気体の圧力と同じである、すなわち、溶質粒子は気体分子と同じように振るまうということが発見された。これはある程度自明のことである。というのは、気体の圧力Pは、気体分子が運動し、それらが壁に衝突することの結果によって生じるとイメージできるのとまったく同様に浸透圧Πは、溶質粒子が溶媒を取り囲む半透膜に衝突した結果によって生じたとイメージすることができるからである。
【解説】
これが、気体の状態方程式と浸透圧の式が同じになる理由です。気体は、広大な空間の中に気体分子がポツポツといて高速で飛び回っているイメージなのと同様に、希薄溶液も、広大な溶媒の空間に溶質粒子がポツポツといて高速で動き回っているイメージなのです。
～関連する解説授業～
①浸透圧の解説（なぜ浸透圧の式と理想気体の状態方程式が同じ式になるのかについても解説しています）
②凝固点降下・沸点上昇（なぜ質量モル濃度の分母が溶媒なのか、計算における注意点についても解説しています）
③理想気体の状態方程式の使い方（理想気体とは何か、混合気体の考え方、計算の工夫の仕方についても解説しています）
～参考～
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