助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)一覧(意味・接続・用法)【古文文法のすべて】

係助詞

☆解説授業はこちら→係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の用法と係助詞を使った表現(係り結びの法則、結びの省略、結びの消去(消滅、流れ)についても解説しています)

(1)「ぞ」

①意味

→強意
※現代語に訳さない。

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が連体形になる(係り結びの法則)
  2. 「ぞかし」:念押し(~であるよ)
  3. 「もぞ」:~したら困る、~したら大変だ

(2)「なむ」

①意味

→強意
※現代語に訳さない。

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が連体形になる(係り結びの法則)
  2. 「なむ」の識別に注意→「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)

(3)「や」

①意味

→疑問(~か)、反語(~か、いや~ない)

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が連体形になる(係り結びの法則)
  2. 「やは」:反語

(4)「か」

①意味

→疑問(~か)、反語(~か、いや~ない)

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が連体形になる(係り結びの法則)
  2. 「かは」:反語

(5)「こそ」

①意味

→強意
※そのまま訳してみて、おかしくなければそのまま訳す。不自然なら訳さない。

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が已然形になる(係り結びの法則)
  2. 「もこそ」:~したら困る、~したら大変だ
  3. 「こそ~已然形」が文中にあれば、逆接(~だけれども)の意味になる。「…ばこそ~め」は「…ならば~だろう(推量)けど、」や「…ならば~したらよいだろう(適当)けど」と訳す。
    ※接続助詞「ば」(順接仮定条件)についてはこちら→接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)
    ※「め」(推量の助動詞「む」の已然形)についてはこちら→推量の助動詞「む・むず・じ・らむ・けむ・べし・まじ」の活用・接続・意味(訳し分けのポイント、婉曲の意味についても解説しています)

(6)「は」

①意味

→強意
※そのまま訳してみて、おかしくなければそのまま訳す。不自然なら訳さない。

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が変化しない(係り結びをしない)。
  2. 「やは」「かは」:反語

(7)「も」

①意味

→強意
※そのまま訳してみて、おかしくなければそのまま訳す。不自然なら訳さない。

②接続

→種々の語

③用法

  1. 文末(結び)が変化しない(係り結びをしない)。
  2. 「もぞ」「もこそ」:~したら困る、~したら大変だ

格助詞

☆解説授業はこちら→格助詞「が・の・より・にて・して・とて・を」の意味と注意点(同格の「の」、比喩の「の」、格助詞「より」の重要な意味、「をば」の訳し方を例文を使って解説しています)

(1)「が」

①意味

→主格(~が)、連体格(~の)、体言の代用(~のもの)
※「が」でも「の」と同じ用法で使うことがある。

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

(2)「の」

①意味

→主格(~が)、連体格(~の)、体言の代用(~のもの)、同格(~で)、比喩(~のように)
※「の」でも「が」と同じ用法で使うことがある。

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

③用法

  1. 「~体言+の+……連体形、」の形になっていたら同格の「の」。連体形の後ろに体言が省略されている(準体法という)。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。
  2.  比喩の「の」は和歌の中(主に序詞につく)、または「例の+用言」(いつものように~)の形で使う。序詞についてはこちら→序詞の3つのパターン(「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」)

(3)「より」

①意味

→起点(~から)、比較の基準(~よりも)、手段(~で・~によって)、通過する場所(~を通って)、限定(~よりほかに)、即時(~やいなや)

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

(4)「にて」

①意味

→~で

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

(5)「して」

①意味

→~で、~を使って

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

(6)「とて」

①意味

→引用(~と言って、~と思って)

②接続

→体言に準ずる後に接続するが、会話文を引用する場合は「とて」の上に文末表現がくる。

(7)「を」

①意味

→~を

②接続

→体言、または(準体法となっている)連体形
※準体法とは、連体形の後ろに体言を省略する文法のこと。詳しくはこちら→古文でよく出てくる準体法とは何かについて解説します。

③用法

  1. 「をば」:格助詞「を」+係助詞「は」の濁音化、「~を」と訳せばよい。
  2. 「を」の識別に注意→間投助詞「や・を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)

接続助詞

☆解説授業はこちら→接続助詞「ば・を・に・が・ど・ども・と・とも・て・して・で・ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の接続と意味(「ば」の訳し分けについても例文を使って解説しています)

(1)「ば」

①意味

未然形接続:順接仮定条件(~ならば)

已然形接続:ⅰ)原因(~ので)、ⅱ)偶然条件(~したところ、~すると)、ⅲ)恒常条件(~するといつも)
※已然形接続であれば、基本的にⅰ)ⅱ)の意味がほとんど。まれにⅲ)のときがある(二次試験の和訳問題で問われる可能性がある)。

②接続

順接仮定条件:未然形接続
※順接仮定条件は「仮定(まだ起きていないこと)」なので未然形接続

順接確定条件:已然形接続
※順接確定条件は「確定(もう已に起きていること)」なので已然形接続

③用法

  1. 順接仮定条件の「ば」は反実仮想の構文で使われる→反実仮想の助動詞「まし」の意味と訳し分け(反実仮想・ためらいの意志・反実の願望の訳し分けについて解説しています)
  2. 主語が変わりやすい接続助詞(を・に・が・ど・ば)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)

(2)「を」「に」

①意味

→順接(~なので)・逆接(~のに)・単純接続(~したところ)

②接続

→連体形接続

③用法

  1. 主語が変わりやすい接続助詞(を・に・が・ど・ば)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)
  2. 「に」は識別に注意→「に」の識別(完了・存続の助動詞「ぬ」の連用形、断定の助動詞「なり」の連用形、格助詞「に」、接続助詞「に」、単語の一部)

(3)「が」

①意味

→逆接(~のに)・単純接続(~したところ)

②接続

→連体形接続

③用法

  1. 主語が変わりやすい接続助詞(を・に・が・ど・ば)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)

(4)「と」「とも」

①意味

→逆接仮定条件(~しようとも)

②接続

→終止形接続

(5)「ど」「ども」

①意味

→逆接確定条件(~だけれども)

②接続

→已然形接続

③用法

  1. 主語が変わりやすい接続助詞(を・に・が・ど・ば)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)

(6)「て」「して」

①意味

→順接(~ので)・逆接(~のに)・単純接続(~すると)

②接続

→連用形接続

③用法

  1. 主語が変わりにくい接続助詞(て・で)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)

(7)「で」

①意味

→打ち消しの接続(~ないで)
※「で」は「ずて」からできている(「ず」は打消の助動詞)

②接続

→未然形接続
※「で」は「ずて」からできている(「ず」は未然形接続)

③用法

  1. 主語が変わりにくい接続助詞(て・で)
    ※主体の判別の重要なポイントの1つ→主体の判別のための3つのポイントを解説します!(①敬語、②接続助詞、③古文常識、例文による解説もしています)

(8)「つつ」「ながら」

①意味

→~つつ、~ながら
※現代語と同じ。

②接続

→連用形接続

(9)「ものの」「ものを」「ものから」「ものゆゑ」

①意味

→逆接確定条件(~なものの)

②接続

→連体形接続 

副助詞

☆解説授業はこちら→副助詞「だに・すら・さへ・し・しも」の意味と注意点(添加と類推の違い、「だに」の最小限の限定の意味の使い方も解説しています)

(1)「だに」

①意味

→最小限の限定(せめて~だけでも)、類推(~さえ)

②接続

→種々の語に接続する。

③用法

  1. 「だに」が最小限の限定の意味になるのは、仮定、命令、意志、願望の文脈のとき(せめて~だけでもあれば、せめて~だけでもしてくれ、せめて~だけでもしよう、せめて~だけでもしたい)

(2)「すら」

①意味

→類推(~さえ)
※「すら」と「さへ」は現代になり意味が逆転していることに注意!

②接続

→種々の語に接続する。

(3)「さへ」

①意味

→添加(~までも)、(類推(~さえ))
※「添へ」と漢字をあてるように、本来は添加の意味
※「すら」と「さへ」は現代になり意味が逆転していることに注意!
※新しめの文章であれば、類推(~さえ)で使うこともある。

②接続

→種々の語に接続する。

(4)「ばかり」

①意味

→限定(~だけ)、程度(~ぐらい・~ほど)

②接続

→種々の語に接続する。

(5)「し」「しも」

①意味

→現代語訳できない。
※なくても文が成り立つ「し・しも」は強意の副助詞

②接続

→種々の語に接続する。

③用法

  1. 「し」が助動詞の場合、過去の助動詞「き」の連体形→過去の助動詞「き・けり」の解説(「~せば……まし」の構文についても解説しています)

終助詞

☆解説授業はこちら→終助詞「ばや・なむ・てしが・にしが・てしがな・にしがな・もがな・がな・な・そ・か・かな・は・よ・かし・ぞ」の意味と注意点(願望、禁止、「な~そ」、詠嘆、念押し、「ぞかし」)

(1)「なむ」

①意味

→他者への願望(~してほしい)

②接続

→未然形接続

③用法

  1. 「なむ」の識別に注意→「なむ」の識別(他者への願望の終助詞、強意の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」、係助詞、ナ変動詞の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」)

(2)「ばや」

①意味

→自己への願望(~したい)

②接続

→未然形接続

(3)「てしが」「てしがな」「にしが」「にしがな」

①意味

→願望(~したいなあ、~が欲しいなあ)

②接続

→連用形接続

③用法

  1. もともと願望の終助詞として「しか」があり、これらに強意の助動詞や助詞(「て」「に」「な」)がくっついて変化してできた。

(4)「もがな」「がな」

①意味

→願望(~したいなあ、~が欲しいなあ)

②接続

→種々の語に接続する。

③用法

  1. もともと願望の終助詞として「もが」があり、これらに強意の助動詞や助詞(「て」「に」「な」)がくっついて変化してできた。

(5)「な」「そ」

①意味

→禁止(~するな)

②接続

→「な」は終止形接続、「そ」は連用形接続

③用法

  1. 「な~そ」:願望を含む弱い禁止(~してくれるな)

(6)「な」「か」「かな」「は」「よ」

①意味

→詠嘆(~だなあ)

②接続

→文末につく。

(7)「かし」「ぞ」

①意味

→念押し(~よ、~ね)

②接続

→文末につく。

③用法

  1. 「ぞかし」:感動を伴う念押し(~であるよ)

間投助詞

☆解説授業はこちら→間投助詞「や・を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)

(1)「や」

①意味

→詠嘆(~だなあ)、呼びかけ(~よ)、列挙

②接続

→文中や文末にくっつく。

③用法

  1. 「や」は係助詞もあるので注意→係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の用法と係助詞を使った表現(係り結びの法則、結びの省略、結びの消去(消滅、流れ)についても解説しています)

(2)「を」

①意味

→詠嘆(~だなあ)

②接続

→文中や文末にくっつく。

③用法

  1. 「を」の識別に注意→間投助詞「や・を」(そもそも間投助詞とは何か、「を」の識別についても解説しています)

~参考~

助詞(係助詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・間投助詞)解説・テスト一覧

助動詞(古文)一覧(活用表・接続・意味)

動詞(古文)の活用表一覧(四段活用・上一段活用・下一段活用・上二段活用・下二段活用・ナ変・ラ変・カ変・サ変)

形容詞(古文)の活用表一覧(ク活用・シク活用)

形容動詞(古文)の活用表一覧(ナリ活用・タリ活用)

古文文法の解説動画・授業動画一覧(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

古文文法のすべて(基礎知識、用言、係り結びの法則、助動詞、助詞、識別、敬語、和歌、主体の判別)

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