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位置エネルギーとは何かを説明できるようになりましょう(重力・弾性力・万有引力・静電気力による位置エネルギー、保存力とは何か、仕事と運動エネルギーの関係についても解説しています)

(1)解説授業動画

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(2)解説授業の原稿

位置エネルギーとは何か

位置エネルギーとは何かについて解説します。

そもそも位置エネルギーとは何なのかということを正しく説明できる人は少ないと思います。しかし、位置エネルギーとは何かを理解することはとても重要なことなので、ぜひ今回の解説で人に説明できるぐらいまで理解するようにしてください。

そもそも位置エネルギーとは、「保存力によって仕事をされる可能性」を表しています。

位置エネルギーのことを英語で”potential energy”とも言います。”potential”を日本語に訳すと『潜在的な』という意味であり、位置エネルギーとは「可能性を秘めている」ということを意味しているのです。

そして何の可能性を秘めているかというと、「保存力によって仕事をされる可能性を秘めている」ということになります。

保存力とは何か

では、そもそも保存力とは何かですが、保存力とは重力、弾性力、万有引力そして静電気力、この4つの力のことで。

ちなみに、この4つ以外の力のことを非保存力といいます。

仕事とは何か

そして次に、仕事とは何かを確認してみると、仕事をWとすると、

W=F・S

となり、Fは力であり、sは力の向きに動いた距離を表しています。つまり仕事とは、力に距離をかけたものとなります。

重力による位置エネルギー

それではこの4つの保存力による位置エネルギーをそれぞれ確認してみます。

まずは、重力による位置エネルギーを考えてみます。

単に位置エネルギーといった場合は、重力による位置エネルギーを表しています。では、重力による位置エネルギーとは何を意味しているのでしょうか。

例えば下図のように、基準面からhの高さまで質量mの物体を持ち上げたとします。そして、手を離し、この物体が基準面まで落ちたとしましょう。

そのとき、物体が重力によってされた仕事は、W= F・Sの仕事の定義から、力は重力mgで、重力の方向に動いた距離はhなので、

mg×h=mgh

となります。これが重力場の中を物体が落ちたときに、重力によってされた仕事です。

ということは、持ち上げた位置にある物体は、この位置にあるというだけでmghの仕事をされる可能性をもっているということになります。ゆえに、持ち上げた位置にある物体の重力による位置エネルギーはmghとなるのです。

どうでしょうか。位置エネルギーとは保存力によって仕事をされる可能性であるということが分かってきたでしょうか。

位置エネルギーと仕事と運動エネルギーの関係

また、例えば下図のように、質量mの物体をhの高さから落としてh’の高さまで落ちてきたとき、物体が重力によってされた仕事はmg(h-h’)となります。

こうなると、この物体はまだあとmgh’の仕事をされる可能性をもっているということになります。このことが意味するのは、位置エネルギーがmghからmg(h-h’)減少し、mgh’の位置エネルギーが残っているということを意味しています。

そして、物体が高さhの位置から高さh’の位置まで落ちることによって、重力による位置エネルギーが減るということは、重力によって仕事をされたということであり、そして物体が仕事をされるということは物体の運動エネルギーが増加するということを意味しています。

仕事と運動エネルギーの関係は、このようになっているということも重要なので知っておきましょう。

このように位置エネルギーとは何かを知っているのであれば、「位置エネルギーが減ったから運動エネルギーが増加した」と考えるのではなく、「位置エネルギーが減少したということはその分だけ仕事をされたということであり、仕事をされたということはその分だけ運動エネルギーが増加した」と考えるようにしましょう。

弾性力による位置エネルギー(弾性エネルギー)

それでは残りの3つの保存力による位置エネルギーも簡単に確認してみます。ただし、位置エネルギーの式の導出などは別の動画で解説するのでそちらをご覧になってください。

それでは弾性エネルギー(弾性力による位置エネルギー)を確認します。

弾性エネルギーは、

U=1/2kx2

となります。

例えば下図のように水平に物体とばねをつなぎ、自然長からxだけ引っ張ってみます。

するとこの物体にはkxの弾性力がはたらきます。ということは、この物体は自然長からx離れた位置にいるというだけで、弾性力によって仕事をされる可能性をもっているということになり、つまり弾性エネルギーを1/2kx2持っているということになります。

そしてこの物体から手を離すと、物体は弾性力によって引っ張られていきます。そしてある地点まで移動すれば、その移動した分だけ弾性エネルギーが減り、それはつまり弾性力によって仕事をされたということなので、仕事をされた分だけ運動エネルギーを得るということになります。

万有引力による位置エネルギー

また、万有引力による位置エネルギーは、

U=-GMm/r

となります。

例えば質量Mの太陽の周りを質量mの惑星が下図のように公転していたとします。

太陽の中心から惑星までの距離がr1のときとr2のときの万有引力による位置エネルギーと運動エネルギーを考えてみましょう。

r1がr2よりも小さいとき、r1の位置における惑星の万有引力による位置エネルギーは、r2の位置における惑星の万有引力による位置エネルギーよりも小さくなります。

それはすなわち、r2の位置からr1の位置まで移動したとすると位置エネルギーが減少し、惑星は万有引力によって仕事をされるので、その分運動エネルギーを得ることになります。

よってr1の位置における惑星の運動エネルギーは、r2の位置における惑星の運動エネルギーよりも大きくなります。つまりr1の位置とr2の位置の惑星の速さを比べると、r1の位置の惑星の速さの方が大きくなるということになります。

静電気力による位置エネルギー

⑥「最後に、静電気力による位置エネルギーです。静電気力による位置エネルギーは、

U=qEd

で表され、EdをVとおいて

U=qV

とも表されます。Vは電位と呼ばれ、単位電荷あたりの位置エネルギーを表すことになります。

例えば下図のように電位差がVの導体をqの電荷が高電位から低電位に向けて移動したとします。

すると、この電荷はqVの仕事をされることになり、仕事をされるということは運動エネルギーを得るということであり、そしてさらに電荷の運動エネルギーはジュール熱となるのです。これが導体に電流を流したときに熱が発生する理由です。

いかがだったでしょうか。位置エネルギーとは何かを理解することができたでしょうか。最初にもお伝えした通り、位置エネルギーとは何かを理解することはとても重要なので人に説明できるくらい理解するようにしましょう。

(3)解説授業の内容を復習しよう

斜面と力学的エネルギー保存の法則

弾性力と力学的エネルギー

惑星の運動

(4)仕事と力学的エネルギーの解説一覧

仕事と力学的エネルギー(力学)公式

位置エネルギーとは何かを説明できるようになりましょう(重力・弾性力・万有引力・静電気力による位置エネルギー、保存力とは何か、仕事と運動エネルギーの関係についても解説しています)

(5)参考

仕事と力学的エネルギー(力学)の解説・授業・公式・演習問題一覧

力学(物理基礎、物理)の解説動画・授業動画一覧

力学(物理基礎、物理)公式一覧

力学(物理基礎、物理)の解説・授業・公式・演習問題一覧

物理の解説動画・授業動画一覧(力学・熱力学・波動・電磁気・原子)

物理に関する現象や技術(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)

物理の解説・授業・公式・演習問題一覧(力学、熱力学、波動、電磁気、原子)

物理学習に必要な参考書・問題集

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