(1)例題
下図のように、真空中で荷電粒子(イオン)を加速する円形の装置を考える。この装置には、内部が中空で半円型の二つの電極が水平に向かい合わせて設置され、それらの間に電圧をかけることができる。全体に一様で一定な磁束密度Bの電場が鉛直下向きにかかっている。
質量m、正電荷qを持つ粒子が、点Pから入射され、中空電極内では磁場による力のみを受けて円運動を行い、半周ごとに電極間を通過する。電極間の電場の向きは粒子が半周するたびに反転して、電極間を通過する粒子は、大きさVの電圧で常に加速されるものとする。
①運動エネルギーE0を持つ粒子が電極内に入射し、電極間をn回通過した。粒子の持つ運動エネルギーをn, q, V, E0を使って表せ。
②粒子が電極間をn回通過した後の運動エネルギーをEnとする。その時の速さvと円運動の半径rをEn, m, v, q, Bを使ってそれぞれ表せ。
(2015年物理本試第2問Bより)
(2)例題の答案
①
②
(3)解法のポイント
このように、粒子を磁場中の電極内で回転させ加速させる装置をサイクロトロンといいます。粒子は、速度を増していき、やがて電極の外へ飛び出していきます。
ポイントとしては、
①粒子が電場からされる仕事はqVであり、された仕事の分だけ運動エネルギーが増加する
②磁場内の粒子は、ローレンツ力を向心力とした円運動をする
といった点です。
(4)必要な知識
①ローレンツ力
②向心加速度
③向心力
(5)理解すべきこと
①電場と電位とは何かを理解しましょう(「場」とは何か、力学(重力)と電気を対応させて理解する、静電気力、クーロンの法則、静電気力による位置エネルギー(静電エネルギー)、電場と電位をイメージで理解する)
②等速円運動の問題の2つの解法について理解しましょう→等速円運動の2つの解法(向心力と遠心力についても解説しています)