(1)例題
コウモリは、自分の発する超音波の反響を手がかりにして、障害物や獲物を探知する。コウモリと獲物となるガが同一直線状を等速度運動している場合を考えよう。いま、図のようにコウモリが正の速度v[m/s]で飛びながら、前方を速度u[m/s]で逃げるガに向かって一定の振動数f₀[Hz]の超音波を短い時間⊿t₀[s]の間だけ発射した。空気は静止しているものとし、空気中の音速をV[m/s]とする。また、コウモリとガの大きさは考えないものとする。特に指定のない限り、各問の解答はここに与えられた量(v, u, V, f₀, ⊿t₀)を用いて表せ。
①空気中を伝わってガに向かう超音波の先端から後端までの長さℓ[m]を求めよ。
②コウモリの超音波がガにあたっている時間⊿t₁[s]、およびガが観測する超音波の振動数f₁[Hz]を求めよ。
③コウモリは、ガに当たって返ってくる反射波を観測する。
1.コウモリの反射波が当たっている時間⊿t₂[s]と⊿t₀との比 r=⊿t₂/⊿t₀を求めよ。
2. コウモリが観測する反射波の振動数f₂[Hz]とf₀との比 s=f₂/f₀をrを用いて表せ。
④
1.超音波の先端がコウモリから発せられてからガに到達するまでに要する時間をT₁[s]、超音波の先端がガに達した時のコウモリとガの間の距離をL₁[m]とする。T₁を、L₁, v, u, Vのうち適切なものを用いて表せ。
2. 超音波の先端がコウモリから発せられてからガで反射してコウモリに達するまでの経過時間をT[s]として、超音波の先端がコウモリに達したときのコウモリからガまでの距離 L[m]を求めよ。
(岐阜大2009年第4問より)
(2)例題の答案
①
②
②の別解
③-1
③-2
④-1
④-2
(3)解法のポイント
この問題が完璧に解けたら、ドップラー効果はマスターしたといっても過言ではありません。
ポイントとしては、
①音源・観測者にとっての音の速さ・振動数を確認すること
②音源・観測者のどちらにとっても同じであるもの(波の数・波長)が何かを確認すること
③反射波は、ガが発したものと考えること
④図をかくこと
この4つです。
(4)必要な知識
①ドップラー効果
(5)理解すべきこと