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【ニーチェ】神は死んだ~ニヒリズム(虚無主義)の時代に君たちはどう生きるか~【ツァラトゥストラはかく語りき】

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参考文献

『ツァラトゥストラはこう言った』(上)(下)(ニーチェ著, 氷上英廣訳, 岩波文庫)

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動画の内容まとめ

テーマ:神は死んだ~ニヒリズム(虚無主義)の時代に君たちはどう生きるか?~

今回のレクチャーのテーマは「神は死んだ」です。

「神は死んだ」は、ニーチェの一番有名な言葉です。

神が死んだことにより、世界に末人(まつじん)があふれるようになったのです。

末人とは、向上心がなく、受動的で、周りに流されやすく、漫然と生きている人間のことです。末人が望むのは日々の安楽と現状維持だけです。

そして、このような末人が近代以降に現れるようになったのは、キリスト教の神が死んだからです。

キリスト教の力が失われた世界

少しキリスト教の歴史を振り返ります。

中世のヨーロッパでは、キリスト教が広く信仰されていました。

そして、中世ヨーロッパの人々はキリスト教の世界観を信じていました。

キリスト教の世界観とは、「信じる者は救われる」です。キリスト教の神を信じ、その教えの通りに生きれば、死後、天国に行けるという世界観です。

この信仰によって、人々は現実の苦難にも耐えることができたのです。

「たとえ今の生活が苦しくても、それは神が与えた試練であって、その先には必ず救済がある」と信じて生きていたのです。

しかし、近代に入ると人々はこの教えに疑いを持つようになります。

産業革命により工業化が始まったり、科学が発達したりすることにより、神や死後の世界といったものを信じることができなくなったのです。科学が提示する世界観と宗教が提示する世界観は、どうしても相容れることができません。

確かに科学は人々の生活を便利で快適にしましたが、人々から神という絶対的な支えを失わせることにもなったのです。

これが「神は死んだ」という言葉の意味です。

そして、神という絶対的な支えを失った人々は絶望します。

これまでは神が人生の苦しみに意味を与え、最後には救いを用意してくれていましたが、神が死んだ世界においては死後の救済などはなく、今の苦しみは報われず、弱者は弱者のままであるという現実を突きつけられるのです。

これにより、人間には生きる意味も目的もなく、この世界は虚無であるというニヒリズム(虚無主義)が蔓延していきます。

ニヒリズム(虚無主義)と末人

人生には意味も目的もなく、この世界は虚無であるというニヒリズムの考えに支配された人々は、末人となっていきます。

「こんな世界ではどうせ努力は報われない。頑張っても無駄である」と考えてしまうのです。

現代でもニヒリズムは残っています。

現代においては、「大衆」という言葉が「末人」という言葉の代わりになっていますが、大衆の心にもニヒリズムが巣食っています。

そのため、彼らも人生の意味を見失い、向上心もなく、周りに流されやすく、漫然と生きているのです。最近よく聞く「親ガチャ」という言葉も、このニヒリズムを表していると思います。

現代の大衆がニヒリズムに陥ってしまう原因は、近代の末人と同様に、絶対的に信じられる存在を失っているからです。

神は近代に入る段階で死にました。それ以降、人は神に代わる絶対的な支えを求め続けました。国家、イデオロギー(主義・思想)、お金、あるいは、アイドルやインフルエンサーに至るまで。

しかし、いずれも中世の神と同じ結末をたどり、「死んで」しまうのです。

つまり、これらは絶対的ではないといずれ気づかされ、信じ切ることができなくなってしまうのです。

では、結局信じるべきものは存在しないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。信じるべきものは、自分の内側にあるのです。

何を信じ、どう生きるか

↓のレクチャーで、超人の精神に至る3つの段階(①ラクダ、②獅子、③幼子)を解説しました。

この2段階目の獅子の段階は、強い意志で既存の価値観や社会の常識といったものを否定し、自分の中の信念基づいて行動する段階です。

このように、信じるべきものは自分の外にではなく、自分の内に求めるべきなのです。

信じるべき絶対的なものを自分の外に求めても、自分の外にあるものはいずれ死んでしまう可能性があります。神のように。

しかし、あなたの内側にある信念は不滅です。少なくとも、あなたが生きている間は。

自分の内側にある自分自身の信念に基づいて生きていれば、このニヒリズムがはびこる世界であっても強く生きていくことができます。

例えば、自分なりのこだわりを追求して生きている人は、たとえ周りから理解されづらくても、幸せに生きているように見えますよね。

このような人は、周りに流されて生きている大衆から浮いてしまったり、バカにされたりすることもあるかもしれません。

それでも、あなたが信じるべきはあなたの内側の信念のみです。あなたの内側の信念から導かれる価値観に従っていきるべきです。

それこそが、ニヒリズムの時代を生きていくための、神の教えに代わる新しい生き方の基準となるのです。


哲学解説一覧

【ニーチェの哲学解説一覧】

『ツァラトゥストラはかく語りき』からニーチェの思想を学ぼう!【ルサンチマン】【超人】【永遠(永劫)回帰】

神は死んだ~ニヒリズム(虚無主義)の時代に君たちはどう生きるか~【ツァラトゥストラはかく語りき】

『ツァラトゥストラはかく語りき』詳説①:徳の講壇

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