(1)効果のあまりない学習法
まずリスニング(スピーキング)の学習方法で、あまり効果のないものをご紹介します。それは、
ただ聞くだけ
です。「ただ聞くだけ」ではリスニングの学習、さらには、言語学習にもなりません。たとえどんなにたくさん繰り返し聞いたとしても、意味を理解できていない単語や文はインプットされません。
よく「リスニング対策はニュースやラジオをとにかく聞くこと」、あるいは、「英語で映画を見てみよう」という人がいますが、これがあまり役に立たない理由がここにあります。つまり、そもそも単語やフレーズを音で認識できていなければ、いくら聴いても「ただ意味不明な音が流れているだけ」になってしまうのです。
- 言語学習で最も重要なことは「意味を理解できるメッセージ(comprehensive input)を聞くこと」という考えがあります→言語習得の唯一の方法comprehensive input
(2)フォニックスを知ろう
ただ聞くだけからの脱却の一歩目はフォニックスを知ることです。
フォニックスとは、英語の発音のルールのことです。「rは舌を巻きながら発音する」「thは舌を軽く噛みながら発音する」「vは下唇を軽く噛みながら発音する」といったものです。
英語の発音には基本となるルールがあるので、まずはそれを理解しないことには、いつまでたっても「ただ何となく聞くだけ」の域から抜け出すことはできません。
【発音のルール(フォニックス)一覧】
②英語の2文字の子音の発音のルール(子音ダイアグラフ、子音ブレンド)・2文字の子音のフォニックス
③英語の母音の発音のルール(短母音、サイレントe)・母音のフォニックス
④英語の2文字の母音の発音のルール・2文字の母音のフォニックス
※参考:英語を自然な速度で話されることによって起きる6つの現象(短縮・連結・脱落・同化・弱形・変形)
(3)リスニング・スピーキングの効果的な学習法
フォニックスを理解したら、次は実践的なリスニングとスピーキングの学習をしていきます。
効果的な学習方法の基本は、意味を理解した上で音声を聴き、自分でも発音してみることです。リスニングとスピーキングは表裏一体です。聴くことができるようになれば話せるようになり、話せるものは聴き取ることができるのです。
そこで、以下の順番で学習することをオススメします。
①まずは、何も見ずに聞いてみる(問題がある場合は、問題を解いてみる)
使用する教材は何でもいいですが、学校の教科書を使えばテスト対策に、英検の教材を使えば英検対策に、単語帳を使えば単語暗記に、ついでに使えるので一石二鳥です。
この段階では、まだリスニング(スピーキング)の能力は向上しません。ただ、実践演習の中で培われる能力(聴き取れない部分がある中で問題に対処する力)もあるので、受験対策としてリスニングを学習するのであれば、まずは自力で問題に取り組んでみてください。
②マスターしたい文章を選ぶ
学習した英語すべてを聴き取れるようになることが望ましいですが、一気にたくさんの文章のリスニングの学習をするのは効率が悪いです。
マスターしたい文章を1つに絞りましょう。
また、時間がないときなどは1~2文程度に絞っても構いません。むしろ、慣れていないうちは時間がかかるので、1~2文程度にしておいた方がいいかもしれません。
③スクリプトの中で知らない単語やフレーズを調べる、スクリプトの意味を確認する
マスターしたい文章を選んだら、まず文章の意味を理解するために、単語やフレーズを調べ、文章を精読します。
上でも書きましたが、意味を理解していない単語や文章をいくら聞いても、リスニング(スピーキング)の能力は向上しませんので、まずは文章の意味を理解するようにしましょう。
④何回か音声を聴く
意味を理解したら、次は音声を聴きます。
うっすらと文章を覚えてしまうぐらい何回か聴くようにしましょう。(5~10回程度聴くとよいでしょう。)
⑤スクリプトを見ながら自分だけで音読する
※この段階から、時間と労力がかかってきます。覚悟して臨みましょう!
うっすらと音声を覚えたら、次はスクリプトを見ながら自分で音読をしてみます。スクリプトを見ながら、なるべく正しい発音で(音声の発音をそのままマネしながら)スラスラと音読できるようになるまで繰り返します。
ポイントは、ゆっくりでもいいので、なるべく正しい発音(音声と同じ発音)になるように心がけることです。この段階では、まだスピードはそこまで気にしなくてもよいです。とにかく音声の発音をそのままマネしながら、なるべく正しい発音でスラスラと音読できるようになることが重要です。
できるようになるまで何度でも繰り返しましょう。また、何度でも音声を聴き直して、正しい発音を確認しながら進めるとよいです。
※スロー再生ができるアプリなどを利用することをオススメします。正しい発音を確認するときは、スロー再生をすると分かりやすくなります。
この段階までくると、スクリプトはほとんど覚えてしまっていると思います。
⑥スクリプトを見ながら、シャドーイング
ここからシャドーイングを始めます。
シャドーイングとは、音声の少し後についていきながら、音声のマネをする音読のことです。(「シャドー」は”shadow”つまり「影」のようについて行くということです。)
とにかく音声のマネをすることが大切です。抑揚のつけ方、イントネーションなど、とにかくマネをしましょう。
スクリプトを見ながら、つまることなく音声についていけるようになったら、この段階はクリアです。
慣れないうちはスピードについていけないと思うので、初めはスロー再生でシャドーイングをし、徐々に速くしていきましょう。
⑦スクリプトを見ずにシャドーイング
これが最終段階です。
スクリプトを見ずにシャドーイングをします。スクリプトを見ずに、つまることなく音声についていきえるようになったら、その文章はマスターしたと言えます。
こちらも、スピードについていけない場合は、初めはスロー再生でシャドーイングをし、徐々に速くしていきましょう。
※⑥と⑦の段階になるべく多くの時間を使うようにしましょう。もし、⑤の段階までに時間がかかりすぎてしまう場合は、文章のレベルが合っていないので、より簡単な文章で学習するようにした方がよいです。
※慣れないうちはかなりの時間と労力を要する勉強法ではありますが、それでも最終的にはこの方法が効率よくリスニングとスピーキングの能力を向上させるものです。逆に言うと、ここまでしないとリスニングやスピーキングの能力は向上しないのです。
(4)リスニング・スピーキングのルールを確認しよう
【発音のルール一覧】
②英語の2文字の子音の発音のルール(子音ダイアグラフ、子音ブレンド)・2文字の子音のフォニックス
③英語の母音の発音のルール(短母音、サイレントe)・母音のフォニックス
④英語の2文字の母音の発音のルール・2文字の母音のフォニックス
※参考:英語を自然な速度で話されることによって起きる6つの現象(短縮・連結・脱落・同化・弱形・変形)
【アクセントのルール】
~参考~
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